日々の出来事

日々の出来事を綴ります。

大きくなったら・・・


年末に仕事で素敵なことがありました。


いつもマスクもしてくれずなかなか職員の話を聞いてくれないMSさん。
最近は、認知症の気配もあり、なかなか難しい利用者さんなのです。


そのMSさんがその日も食事中にトイレに行くと言って帰ってこなくなり、様子を見に行くと、トイレが終わった後そのまま食事が途中なのを忘れて部屋に帰ってしまっていました。
そのMSさんと一緒に食堂に戻る途中、階段をゆっくりゆっくり降りているMSさんに合わせてゆっくりゆっくり歩いていると、急にMSさんが「あ!」と言うので、斜め後ろを振り向くと、MSさんが階段を一段踏み外し、向こうずねを擦ってしまっていました。


その後、痛い痛いと言いながら食堂に歩いて行き、食事を始めたMSさんを見届けた後、救急箱にバンドエイドなどを探して食事をしているMSさんの足をケアすると、珍しくまっすぐ目を見て「ありがとう」と言ってくれました。


それだけでも嬉しかったのに、食事を終えて部屋に帰ってきたMSさんがまたマスクをつけていないと、他の利用者さんが気づき気にしているので、マスクを一緒に探しつけてもらうようにすると、これまた珍しく素直にマスクを一緒に探してくれて、マスクを自分からつけてくれました。


そして、「わたし、大きくなったら支援員の先生になりたいんです」と言って、すごく良い笑顔で笑いかけてくれました。
まさかMSさんからそんな言葉を聞くとはとびっくりしながら、「夢があっていいですね」と言うと、さらににっこりと笑いかけてくれました。


支援員の先生とは、私たち支援員のことです。昔は利用者さんから支援員は「先生」と呼ばれていたらしいですが、今は「さん」と呼ばれています。でもMSさんは時々昔を思い出し、支援員の先生とか「○○先生」という言い方をすることがあります。
そして、いつもMSさんの気持ちや気分と違うことを要求しなければならない、そしていつも反発や反抗をされる私たちの職業に憧れを持ってくれているとは思いませんでした。

そして、まさかそんな夢を素直に私に話してくれるなんて思いがけないこと過ぎてびっくりし、その素敵な笑顔がすごくかわいくて、何かよく分からないのですが、私自身が報われたような気がしました。
思いがけない幸せでした。
MSさん、ありがとう。


「大きくなったら・・・」。
それは、48歳の利用者さんが使うには不適切な言葉なのかもしれません。
でも、本当に素敵だなあと思いました。
同じ学年の私は、大きくなったら何になりたいかな?
お正月を迎えて、そのことを今、考えています。

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