日々の出来事

日々の出来事を綴ります。

図書館のお夜食


先日の旅行で、軽井沢辺りを車で走っている時に写した空の写真です。


原田ひ香『図書館のお夜食』を読んだ。
私自身、学校を出てから初めて仕事をしたのが図書館司書の仕事だったので、図書館が舞台というだけで心惹かれてしまったのだけれど、読んでいてもとても楽しかった。


視点人物が時折変わって、それぞれの人の独白(?)のような部分があるのだけれど、私は70歳くらいの女性・正子さんに妙な親近感を覚えてしまった。長年図書館司書として仕事をしてこられた正子さんだけれど、いつの頃からか純粋に読書を楽しめなくなっている、というのだ。


活字中毒というか、物語中毒のように本を読んでいた私が読書ができなくなったのは、うつ病に罹ってしまい自分自身の中から楽しい気持ちが失われてしまったことがきっかけだったので、おそらく正子さんとは理由が異なるのだろうけれど、あれだけ本に向かっていたベクトルが行き場を失い消えてしまった…という呆然とするような喪失感は同じような気持ちなのではないだろうか?と勝手に親近感を覚えたのだった。


この本に関しての知識を持たないので、この一冊で終わってしまったのか、それとも続きがあるのか分からないけれど、とにかく難しさとは無縁でただひたすら楽しんで読むことができた。原田ひ香さんの本はいつでもそうだ。子どもの頃のとにかく先を、続きを読みたくなるような読書の感覚を思い出させてくれるような本だった。


夜の図書館のような図書館があったら、私も働いてみたい気がする。正子さんのように60歳を過ぎてからで良ければ。

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